ウェアラブルデバイスとは?ビジネス現場での活用が進む理由
ウェアラブルデバイスという言葉を耳にする機会が増えています。ウェアラブルデバイスは、ビジネス現場においても活用が進んでいます。本記事では、一般生活、ビジネス現場において注目を集めるウェアラブルデバイスについて、具体的な活用事例を交えてご紹介します。
ウェアラブルデバイスとは?
ウェアラブルデバイスとは、腕・頭など身体に装着して使用できるデバイスのことです。
スマートウォッチ(=Smartwatch)は最も分かり易い例ではないでしょうか。スマートウォッチとは、その名の通り「時計」の形をした腕に装着するウェアラブルデバイスです。
スマートフォンが普及し、1人1台情報通信端末を持っているといっても過言ではない時代になりました。そのような中、新たに登場した「ウェアラブルデバイス」が今度は注目を浴びています。
ウェアラブルデバイスの機能
ウェアラブルデバイスがもつ機能は製品によってさまざまです。
一般的な例としては、次のような機能が挙げられます。
■通話・通信機能
電話やメール、ボイスメッセージなどによる他者との通信機能
■通知機能
スマートフォンなどと連携して、電話・メール・アプリなどの各種通知を受け取ることができる機能
■健康管理機能
心拍数や睡眠時間の記録、運動量の記録などをおこない、使用者の健康管理に役立てる機能
■GPS機能
位置情報を取得して、マップやナビゲーションなどを利用できる機能
紛失した持ち物の捜索などにも活用されている
■コントローラー機能
接続したスマートフォン、PC、カメラ、オーディオ機器、家電などの機器・設備を、遠隔操作できる機能
■AR機能
AR技術を使った、拡張現実を体験できる機能
■電子決算機能
クレジットカードや交通系ICなどを登録し、買い物や交通機関への乗車などの決済に利用できる機能
例えばスマートウォッチの場合、代表的な機能としては、時計としての機能はもちろんのこと、歩数系や心拍計など各種センサから、音楽の再生やニュースの閲覧など多種多様な機能がついており、身につけるだけでどこでも簡単に情報を収集したり発信したりできるようになります。機種にもよりますが、スマートフォンと連携して着信・メールやSNSの通知など、主に日常をより便利にする機能が備わっています。
他にも、AR(拡張現実)を体験することができるメガネ型の「スマートグラス」や、リストバンド型で歩数計や心拍計、睡眠時間の記録や目覚まし機能などを実装したデバイスなどが存在します。
どのウェアラブルデバイスにしても共通なのは、「身につけて使うデバイス」であること。手に持ったりカバンに入れたりして持ち運ぶスマートフォンとの大きな違いはここで、ウェアラブルデバイスの特徴です。
ウェアラブルデバイスの種類・選び方
ウェアラブルデバイスには、用途に応じてさまざまなタイプが存在します。
主な種類としては、次のようなものがあります。
・時計型
・指輪型
・メガネ型
・カメラ型
・衣服型
腕に装着して利用する時計型のデバイス「スマートウォッチ」や、指輪型のウェアラブルデバイス、ゴーグルのように装着して使用するメガネ型のウェアラブルデバイス、衣服のように着ることができるウェアラブルデバイスなど、その様式はさまざまです。
いずれのウェアラブルデバイスにしても、用途に合わせてその形態・機能を備えていることがほとんどですので、新しくウェアラブルデバイスを検討する際は、まずは活用目的・用途を明確に定めてから選ぶようにしましょう。
例えば、「スポーツ・運動のデータを定量化して自身のパフォーマンス改善に役立てたい」という用途の場合は、移動距離や活動量の記録、消費カロリーの記録、心拍数や血中酸素濃度の測定などの機能がおすすめです。
「日常生活における利便性を向上したい」という場合であれば、電話・メールなどのやりとりができたり、スマートフォンの通知を受け取れたり、電子決済が利用できたりといった機能がよいかもしれません。
用途に応じて、自身がほしい機能を備えたウェアラブルデバイスを選ぶことが大切です。
ウェアラブルデバイスを活用するメリット
ウェアラブルデバイスを活用することで期待されているメリットとしては、大きくわけて次の3点が挙げられます。
ハンズフリーの操作が実現できる
ウェアラブルデバイスの大きな強みの1つが、手に持って操作するのではなく、身体に装着して使用できる点です。スマートフォンやPCでは使用する際に手が塞がってしまいますが、ウェアラブルデバイスであればランニング中・運転中・工場などでの作業中などの手が塞がっている場面でも、画面表示や音声によって通知を受け取ることができたり、タップ・スワイプなどの簡単なジェスチャーや音声入力によってデバイスの操作ができたりといったことが可能になります。
具体的には、通話の際も手に携帯電話を持つ必要がありませんし、運転中でも受信したメールを音声で読み上げてもらって音声入力で返信をする、といったことが可能です。他にも、両手に物を持ったままの状態のまま、地図や作業手順などの情報をウェアラブルデバイスの画面で確認しながら作業する、といったこともできます。
定期的な記録ができる
また、身体に身につけて使用することで、自身の生体情報や行動情報を定期的に記録して、データ化できるのもメリットの1つです。心拍数や睡眠時間などのデータを自動収集して健康管理に役立てたり、GPS・センサによって移動距離や移動経路・動線を記録して、後から振り返ったり効率化に役立てたりといったことができるようになります。他にも、装着したウェアラブルデバイスにユーザー自らが行動記録を入力することで、薬の飲み忘れ防止などの使い方をすることもできます。
効率UP・利便性の向上ができる
これまでにご紹介したような機能で、生活の利便性や業務効率を向上することに役立てられます。
例えば、スマートフォンの通知を確認したり通話に応答したりするために、わざわざ携帯を取り出す一手間が必要なくなります。電子決算機能を持ったウェアラブルデバイスであれば、買い物の際に財布や携帯を取り出す手間も不要です。
また、ウェアラブルデバイスは業務効率化や情報の収集、人為的な作業ミスの軽減や危機回避など業務用途でも解決できるような課題が多く、既にさまざまな企業で導入が進み始めています。
例えば、両手を塞ぐことなくハンズフリーで通話をしながら遠隔での指示をうけて作業に着手することができたり、画面に表示される手順書を見ながら作業をしたりといったことができます。また、ウェアラブルデバイスを装着した従業員の工場内での移動動線を記録して、工程や段取りの無駄を省いて生産性を上げることに役立てたり、侵入禁止エリアへの立ち入りがないか監視したりといった工夫も可能です。
ビジネスにおけるウェアラブルデバイス活用事例
ウェアラブルデバイスはビジネスの現場で実際にどのように使われているのでしょうか。事例と合わせてご説明します。
体調管理・不調の早期発見
腕時計型・リストバンド型のウェアラブルデバイスは、各種センサを用いて装着者の体温、心拍、姿勢、動きの速さなどを計測し記録することができるものが存在します。これを工場現場や危険な現場で作業に当たる従業員に装着してもらうことで、従業員が抱えている心身の不調やストレスなどを検知し、事前に重大な事故を防ぐよう活用することもできます。単に従業員の日頃の健康管理に役立てることも可能です。
また、医療・介護現場においていえば、患者さんや入居者の体調変化を記録して、日頃の心拍数・血糖値などのモニタリングをおこなったり、異常があったときにすぐに通知して迅速な対処ができるようにしたりといった活用方法がされています。
ハンズフリーでの作業を実現、効率UP
メガネ型のデバイス「スマートグラス」を用いれば、業務に必要な情報をデバイスに表示したまま両手で作業を行うことができるため、作業効率が向上します。例えば、機器の点検・整備などの業務では、遠くに離れた作業員に通話機能を用いて指示を出したり、従業員同士で連携を取りながら作業を進めたりと、従来のようにトランシーバーを手に取る必要もないまま作業を進めることできるようになるため、さらなる業務効率化・生産性向上に期待ができます。
AR機能を活用した、新しい顧客体験の創出
同じくスマートグラスを用いれば、ARを活用した新しいゲームなどアミューズメントへの活用も可能です。これまでにはなかった、現実と重ね合わされた拡張現実の世界で、没入感の高い創造的な体験を顧客に提供することができるようになります。これと同様の技術を用いて、スマートグラスを装着した旅行ツアー参加者が歴史的なスポットを訪れた際に、実際に見えている建造物・風景の上に重ね合わせるようにして、過去の時代の再現映像や歴史的な解説資料を表示するなど、新しい体験を提供する試みも検討されているようです。
また、AR技術の活用はこうしたアミューズメント・エンタメ用途に限定されたものではありません。例えば、視界に入った単語や文章を他の言語へ翻訳して、AR技術によって元の文章の横に翻訳後の文章を字幕のように表示してくれる機能を持ったスマートグラスも活躍が期待できます。
データを用いた、スポーツ分野でのコーチング
スポーツ分野の場合は、指導・コーチングに役立てる取り組みもはじまっています。
具体的には、加速度・角速度・地磁気などを測定できるセンサを用いたウェアラブルデバイスをプレイヤーに装着してもらい、肘・膝の曲げ具合やフットワークなどの体の使い方をデータとして収集・解析して、プレイフォームの矯正に役立てる、といった取り組みです。こちらの事例では、これまで以上に科学的なデータを用いて選手のパフォーマンス改善ができると期待されているようです。
このように、幅広い分野においてウェアラブルデバイスがビジネスの現場で活用される事例が増えています。
ビジネスにおけるウェアラブルデバイス活用事例
(当社「Cygnus」の場合)
また、業務シーンにおけるより具体的な活用事例として、当社の腕に装着して使用するタイプのウェアラブルデバイス「Cygnus」(シグナス)の例についてもこちらでご紹介します。
①「物流倉庫」における事例
ウェアラブルデバイスは、例えば物流倉庫において荷物のバーコードの読み取りとそのデータの他所への送信といった用途で活躍しています。従来はこれらの作業をハンディターミナルで行っていましたが、ハンディターミナルだと物を取る際に持ち変える動作が発生したり、あるいは落としたり何処かに置き忘れたりするといったミスも発生していました。これを腕に装着するタイプのウェアラブルデバイス「Cygnus」で行うよう切り替えたことで、いちいち端末を持ちかえる手間がなくなり、置き忘れや落下の心配もなくなりました。このように、常にハンズフリーで作業が可能となったために従来のハンディターミナルに比べて作業効率がアップしたというデータもあがっています。
加えて、ハンディターミナルからウェアラブルデバイスに切り替えたことで使用端末が小型化・軽量化されたので、従業員の負担が軽減されたといったメリットもありました。
物流倉庫におけるウェアラブルデバイスの活用に関しては以下記事でも詳しくご紹介しております。
②「製造業」における事例
工場の生産ラインにおいて、工程の確認、不具合のチェック、各種機器のアラート受信、作業報告などの業務に、従来はタブレット端末などを使用していました。ここに腕時計型のウェアラブルデバイスを導入することで、手を塞いでしまうことなく全てハンズフリーで作業できるようになりました。
また、情報漏洩などのリスクを鑑みてスマートフォンやタブレットの持ち込みを禁止している工場もあります。そのような場合、生産ラインなどに設けられているコンピューターを使って確認や作業報告を行うことになりますが、これでは作業の確認や報告内容の入力に毎回コンピューターの設置場所までの移動の手間が生じてしまいます。しかし、ウェアラブルデバイスを導入することで、作業員はこれらの業務をいつでもどこでも行うことができるようになり業務効率の向上を測ることができますし、更に業務用途専用のウェアラブルデバイスを使用するため情報漏洩等のリスクを心配する必要も無く、セキュリティ面での不安を解消することが可能となります。
製造業におけるウェアラブルデバイスの活用例は以下記事でも詳しくご紹介しておりますので、合わせてぜひご覧ください。
③「飲食業」における事例
飲食店の従業員にウェアラブルデバイスを導入した事例として、客がテーブルで呼び出しボタンを押すとその情報が店員が付けたウェアラブル端末に送信され、店員が音や振動で直ぐに気がつけるようにしました。
また、客からオーダーを受けて入力した注文内容が、ウェアラブルデバイスからレジや厨房に発信される仕組みになっており、従来のハンディターミナルに代わって小型・軽量なウェアラブルデバイスが業務効率を向上させています。
以上のように、ウェアラブルデバイスは同じ端末であっても、使い方次第で様々な用途・場面での活用が可能となります。
終わりに
ウェアラブルデバイスは業務の効率化、従業員の健康管理、顧客満足度の向上などが見込める新たなツールとして、ビジネスの現場への導入が進んでいます。今後、ウェアラブルデバイスはより一層その活用範囲が広がり、無くてはならない製品としての地位を確立していくのではないでしょうか。
具体的な例をあげると、例えば以下の記事でご紹介しているようにテーマパークで顧客満足度を上げる目的で活用が進むなど、より幅広く活用されると期待されています。
ウェアラブルデバイスの活用にご興味のある方は、当社のウェアラブルデバイス「Cygnus」の製品情報ページもご覧ください。
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