IoTとM2Mってなに?何ができる?
モノがインターネットに接続する「IoT」と、機器同士で直接通信をおこなう「M2M」。
どちらも似ている概念ですが、両者の意味合いは少々異なります。
本記事では、その違いと事例について解説していきます。
IoTとM2Mの違い
IoTとは
IoT(Internet of Things)とは、「家電」や「センサー」などのモノがインターネットに接続され通信をおこなうようになることを意味します。直訳すると、モノのインターネットという意味です。
モノがインターネットに接続されることで、「家の外にいながら、エアコンや照明のスイッチをOn/Offできる」「施設の混雑状況を、離れた場所にいる人に知らせる」「機器の異常を検知して、それを通知することで故障を予防・早期発見できる」など、生活やビジネスをより便利にすることが可能です。
M2Mとは
M2M(Machine-to-Machine)とは、機器同士が直接ネットワークで接続されて通信をおこなうことを指します。
機器同士での通信を指す用語なので、こちらは人を介するものには使いません。
機器同士で通信をして、相互に情報をやりとりすることで、人を介さず自動的に機器を制御する技術やサービスがM2Mと呼ばれます。
IoTとM2Mのできることの違い
IoT・M2M、どちらもネットワークで通信をするという点では似た概念ですが、もっとも大きな違いは「M2Mは機器同士の通信のみに限定した概念であること」「必ずしもインターネットに接続するわけではないこと」という点です。
IoTで出来ること
先述の通り、IoTではモノがインターネット通信によって遠隔操作やデータ収集などをおこないます。
その対象としては、人間社会におけるありとあらゆる「モノ」が含まれており、家電・家具・機器・建物・乗り物など、さまざまです。IoTではデータを収集・分析して、人や機会がおこなう作業を効率化・適正化したり、異常を検知したりするのに役立ちます。
M2Mで出来ること
一方、M2Mは機械と機械が直接ネットワークで通信しデータ交換することを指します。
これによって、例えば「機器Aの稼働データにしたがって、機器Bの稼働を制御する」といったことをおこなうのがM2Mです。M2Mではインターネットを介した通信を前提としないため、すばやく情報をやりとりする必要があるシーンで役立ちます。ただし、機器・システムに合わせて通信や動作までのプログラムをカスタマイズで開発する必要があり、構築コストや運用コストが大きくなりがちです。
M2Mが活用されている事例としては、後の章で詳しく解説しますが、次のようものがあります。
・自動運転システム(カメラやセンサーの情報を受け取り、ブレーキが自動的に稼働する)
・エレベーターの遠隔監視(主要部品を監視するマイクロプロセッサからの情報から、故障などを検知)
・自動販売機の在庫管理(センサーで在庫の減りを検知し、業者に通知信号を送信する)
IoT/M2Mの課題
技術面・コスト面での課題
IoTやM2Mは、近年になるまですぐには企業やサービスに取り入れられてきませんでした。
その背景としては、ハードウェアとなる機器そのものや通信性能などの「技術面の課題」、サービスの開発・運用にかかる「コスト面の課題」があったことが挙げられます。
具体的には、以下のようなさまざまな課題がありました。
・通信機器やセンサーの性能が低かった
・通信をおこなうための回線速度や安定性、およびその利用コストが課題だった
・通信した膨大なログ情報を、活用するための処理が実用レベルではなかった
しかし、これらの問題も近年の技術的な進歩にともない、解消されてきています。
例えば、通信機器・センサーなどは「性能向上」「小型化」「低価格化」が進み、通信回線も品質向上と低価格化が進みました。通信回線については、キャリアやMVNO(仮想移動体通信事業者。一般的に格安SIMとして認識されている、他社の回線を借りて運用される通信サービス)がIoT向けに安価な通信プランの提供をはじめています。また、昨今台頭してきたDXやビッグデータ活用などのデータ活用の加速にともない、データ処理の技術・方法や速度も向上しています。
こうした技術面・コスト面の改善と、企業における”モノをネットワークで接続して業務効率化を図る取り組み”の浸透によって、いまではIoT・M2Mが従来よりも導入しやすい環境になっています。
セキュリティ面での課題
他に課題とされているのが、セキュリティです。
IoTもM2Mも、サーバー攻撃の標的にされた際に収集しているデータ(情報)を盗み出されたり、制御を乗っ取られてしまったりといったリスクは考えられます。
いずれの場合も、導入する際はセキュリティ対策もしっかりおこなうことが大切です。
規格標準化の課題
他のモノや機器と連携をおこなううえで、規格の標準化も課題となっています。
規格が異なる機器同士では、そもそも接続がおこなえず連携ができないということもあり得ます。
こちらの対策として、あらかじめ接続したいモノ・機器同士の連携がとれるかどうか、通信規格や仕様などを確認することが大切です。
IoT/M2Mの事例
小売業におけるIoT活用
IoTの代表的な事例としては、「家電の遠隔操作」がよくイメージされるかと思いますが、近年はビジネス用途での活用も広がっています。そこで、ここでは小売業と製造業での活用事例をご紹介します。
小売業店舗では、例えば以下のような例があります。
・来店客数や商品の購買データ、店内サイネージの広告視聴率、混雑情報などの情報を収集して、サービス品質改善・業務効率化を図る
・従業員の稼働状況(レジ打ちや品出しなど)をデータで収集し、導線改善や工程改善をおこなって従業員の業務効率化に繋げる
・在庫数量や欠品情報など、発注に関わる情報を収集してレポーティングや自動発注する
小売業でのより詳しい事例は、以下の記事で解説しています。
製造業におけるIoT活用
製造業では、例えば以下のような例があります。
・機器・設備の稼働ログを収集して、異常の早期発見に繋げる
・生産実績・作業実績などをデータ化・収集し、PCで確認できるようにすることで、人員配置の見直しや翌日以降の計画の練り直しに役立てる
・スマートメータなどで電気・ガスなどの使用エネルギーを自動検針し、エネルギーコストの見える化をする。また、AIと連動させて自動でエネルギーを節約するよう制御する
製造業でのより詳しい事例は、以下の記事で解説しています。
自動運転システムへのM2M活用
M2Mの代表的な事例を3つご紹介します。
1つ目は、自動車の自動運転システムへの活用です。
例えば、CMなどで広告されていることも多い「自動ブレーキ」。
自動ブレーキは、カメラ・センサーで目の前に現れた人や障害物を検知して、その情報がブレーキを制御する機器に送られ、即座にブレーキが作動する仕組みとなっています。
自動車は事故を起こすと人命にも関わる大きな事故になり得るため、機器と機器が直接に通信して即座に制御をおこなえるM2Mが活用されています。
エレベーターの遠隔監視へのM2M活用
2つ目は、エレベーターの遠隔監視への活用です。
エレベーターも、自動車同様に人命に関わる事故が発生し得る装置です。
そのため、故障などの異常を早期に発見し、修理・メンテナンスできるようM2Mによる工夫が取り入れられています。
具体的な例としては、主要部品を監視するためのマイクロプロセッサからデータを受け取ったり、稼働回数などのログをレポートとして送信したりして、異常稼働の検知や稼働率の改善などに役立てています。
自動販売機の在庫管理へのM2M活用
3つ目は、自動販売機の在庫管理への活用です。
無人で商品を販売する自動販売機では、商品在庫を切らしている期間が長く空くほど売上低下に繋がってしまいます。一方で、あまりに頻繁に補充にいきすぎても、運搬のための人員・コストが発生します。
そこで、在庫を切らさず適切なタイミングで補充にいけるように、センサーで在庫の減りを検知してそれを自動的に業者に通知する仕組みがM2Mで実現されています。
もっと多くの具体的な事例を知りたい方へ
以上、IoT・M2Mの違いと活用方法をご紹介いたしました。
当社では、企業様が抱えるビジネス課題を解決するサービスとして、IoT技術を用いた製品・ソリューションの企画・設計・製造から、運用・保守までをワンストップでサポートしております。
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