電力削減・省エネを実現する「AIrux8」が効果を発揮する「3つの場所」
前回の記事では、株式会社クレア 慶徳工場へのAIrux8導入について、IR情報をもとにご紹介しました。
▼【省エネ事例紹介】電力削減29.6%を実現 株式会社クレア慶徳工場へのAIrux8の導入結果
http://www.tranzas.co.jp/column/airux8_creare_casestudy01/
この記事では、導入結果を踏まえ、AIrux8が実現できることについてご紹介します。
電力削減ソリューション「AIrux8」とは?
[図1:値上げされる電気料金]
※画像:電気料金平均単価の推移(資源エネルギー庁 日本のエネルギー2023年版)より
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2023/02.html#section1
エネルギー価格高騰による電気料金の値上げは、どの企業においても喫緊の課題です。クレア慶徳工場では、電気料金が30%値上げされたことへの対策が求められていました。さらに、日本の2050年カーボンニュートラルの達成に向け、企業ではESG投資への取り組みや脱炭素経営など、地球環境に配慮した活動が求められるようになってきました。AIrux8は、これらの企業の活動を支援する役割を担います。
AIrux8が電力削減・省エネ効果を発揮する「3つの場所」
[図2:エアコン温度設定を変更するイメージ]
電力削減を実現するためには、場所や時間帯によって空調や照明をこまめにON/OFFし、空調の設定温度や風量を変更することが重要です。しかし、それを人の手で行うと本来の業務への負担につながります。
クレア慶徳工場での取り組みでは、AIrux8が力を発揮する3つの場所について仮説を立てて効果を検証しました。
1.「事務所・執務スペース」=勤務時間中、常に人が使用する場所
[図3:事務所・執務スペースのイメージ]
事務所・執務スペースは、勤務中に常時人が使用している場所です。このような場所では、朝一番に出勤した人が空調をONにし、設定温度や風量も設定しているのではないか?と考えます。冬であれば室内が冷えており、夏であれば暑くなっている場合が多く、設定温度や風量は電力消費が大きいものになりがちです。そして、その時に設定された温度が終日反映されている場合が多いと考えます。
電力削減には、電気料金の契約電力に影響する「デマンド値」を考慮する必要があります。デマンド値とは、電気使用量の計測時に記録された、30分ごとの平均電力量のことを言います。その月の30分デマンド値が最も高いものがその月の最大デマンド値(最大需要電力)となります。
契約電力は、過去1年間で最も高いデマンド値を基準とするため、一度でもデマンド値が上がってしまうと、1年間の電気料金が上がることになります。したがって、最大デマンド値を抑えることが電気料金を抑えることにつながります。デマンド値については、下記リンクもご覧ください。
▼省エネQ&A 契約電力と30分デマンド値の関係について教えてください。(中小企業基盤整備機構)
https://j-net21.smrj.go.jp/development/energyeff/Q1233.html
AIrux8は、朝に従業員が出勤する少し前から空調を稼働させ、設定温度は最初低めに、そして徐々に高くすることで、最大デマンド値を抑えることに貢献します。日中は室温や混雑状況を感知して風量を調整し、送風モードに切り替えることも可能です。
クレア慶徳工場では、AIrux8は外気温や室内温度をもとに「22℃」が最適な設定温度であると判断。日中は室温によって暖房を送風モードに切り替えるなど、状況に応じて設定温度や風量を制御していました。そして人がいなくなれば、人感センサーによって自動でOFFにしました。その結果、37.7%の電力削減につながりました。
2.「休憩スペース」=使用する時間が決まっている場所
[図4:休憩スペースのイメージ]
休憩スペースは、お昼や作業時間の合間の休憩時間など「常時使用するわけではなく、使用する時間帯がほぼ決まっている」場所です。このような場所では、空調のこまめなON/OFFが必要ですが、現状では空調を常時つけている場合や「消し忘れ」が多くなっていると考えます。しかし、人の手によるON/OFFや空調運用方法を定めて実行することは現実的ではありません。
AIrux8では、あらかじめ使う時間帯に応じて、使われる少し前から空調を稼働させるように設定することが可能です。例えば、休憩の10分前から稼働するように設定し、その後、人感センサーで人の動きを感知して自動でOFFにすることで、使用されていない時間帯の電力を削減することが可能です。
クレア慶徳工場では、このような制御により50.9%の電力削減を実現しました。休憩スペースだけでなく、教室や食堂など、毎日使う時間帯が決まっている場所では同じ効果が期待できます。
3.「売り場」=スペースが広く、常時人がいるが混雑状況は変化する場所
[図5:店舗の売り場のイメージ]
売り場や工場内の作業場などでは、一つのフロアに複数の空調が設置されている場合が多いと考えます。複数の空調で同じ温度に設定していた場合、設定された温度よりも温めすぎてしまったり、冷やしすぎてしまうことがあります。例えば、冬に一つのフロアに2台の空調が稼働しており、1台目、2台目ともに22℃に設定していた場合、室内温度は設定より高く、24℃まで上がっていることがあります。一方で、広いフロアに空調が1台のみ設置されている場合は、使用する電力は大きくなりがちです。
AIrux8は、複数の空調のバランスを取って制御します。また、室内温度や人感センサーによる混雑状況情報により、設定温度や風量を制御し、フロアを快適な環境に保ちます。クレア慶徳工場では、このような制御により22.1%の電力削減を実現しました。小売店の売り場や広いフロアを持った店舗などでも、同じような効果が期待できます。
データの見える化で、AIrux8の価値が最大化する
[図6:AIrux8のCMSイメージ]
これまで見たように、事務所・執務スペース、休憩スペース、工場内作業場や売り場という3種類の場所で、場所に応じた最適な制御を行うことが確認できました。
これらの取り組みを支えたのは、AIrux8が提供するCMSによる「データの見える化」です。クレア慶徳工場で大きな価値を発揮したのは「今まで見えなかったもの、気づかなかったものがデータとして見える化されたこと」でした。データは、工場内の様々な要因や状況について数値やグラフで語ります。これまで漠然としていたこと、気づいていなかった意外なこと、改めて理解できた大事なことなどをデータで客観的に見られることで、関わる人が納得して電力削減施策に取り組み、また、新たな仮説を立てて検証していく土台を作ることが可能となります。
こうした取り組みが、企業の電力削減だけでなく、地球環境への取り組み、脱炭素への取り組みにもつながっていきます。
幅広い施設、多様な場所で効果を発揮するAIrux8。今後も効果計測を重ね、新たな取り組み事例をご紹介していきます。
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