2024年6月の電気代値上がり 電力各社の値上がり動向は?今すぐできる省エネ対策
東京電力など電力会社10社は5月30日、2024年6月使用分(7月請求分)電気料金の燃料費調整について発表しました。政府による激変緩和措置の終了により、6月使用分の電気料金が大きく値上げされます。この記事では、電力会社10社の電気料金の値上げ動向をご紹介します。
電気料金の算出の仕組み
[図1:エアコンのイメージ]
最初に、電気料金の算出の仕組みを見てみましょう。
低圧・高圧・特別高圧とは
電気料金は、提供される電力によって低圧・高圧・特別高圧の契約区分があります。一般家庭では、契約電力が1か月で50kW未満の「低圧」が利用されます。事業者向けでは、ビル・商店・百貨店・スーパーなどの一般的な事業者・施設向けに1か月50~2,000kW未満の「高圧」、工場・高層ビル・総合病院などの大規模な事業者・施設向けには1か月2,000kW以上(かつ受給電圧が20,000V以上)の「特別高圧」が利用されます。
契約電力とは
契約電力は最大需要電力によって決まります。30分ごとの平均使用電力のうち、月間で最も大きい値が最大需要電力となります。そして、当月を含む過去1年間の月間の最大需要電力のうち、最も大きい値が契約電力となります。契約電力が小さいほど電気料金も安くなります。
電気料金=基本料金+電力量料金+…
電気料金は基本料金と電力量料金によって算出されますが、2012年7月からは再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されています。また、電力量料金には燃料価格の変動に応じて燃料費調整額が加えられます。高圧や特別高圧の場合は、2023年4月から大手電力会社で市場価格調整単価が組み込まれるようになりました。
激変緩和措置による値引き額
政府による激変緩和措置では、主に低圧・高圧の燃料費調整額から値引き分の金額が差し引かれ、電気料金に反映されました。2023年1月使用分から8月使用分までは低圧で7.00円/kWh、高圧で3.50円/kWh、2023年9月使用分から2023年12月使用分までは低圧で3.50円/kWh、高圧で1.80円/kWh、延長された2024年1月使用分から2024年4月使用分までは低圧で3.50円/kWh、高圧で1.80円/kWh、2024年5月使用分は低圧で1.80円/kWh、高圧で0.90円/kWhがそれぞれ差し引かれ、電気料金が算出されました。
特別高圧については激変緩和措置の対象外であったものの、昨年3月には政府による「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」(重点交付金)の電気料金補助の対象に特別高圧を利用する事業者が追加され、各自治体を通して支援が行われています。
2024年6月から電気代値上げ 各社の動向は?
ここからは電力会社10社がそれぞれ公表している「平均モデルの電気料金」をもとに、6月使用分の電気料金の値上げ状況をご紹介します。平均モデルの電気料金とは、低圧を利用する一般家庭をモデルに、各月の電気料金を算出したものです。
東京電力
[図2:東京電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯B・30A、使用電力量260kWh/月の場合で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は8,538円、6月使用分は8,930円となり、5月から392円の値上げとなっています。
北海道電力
[図3:北海道電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯B・30A、使用電力量230kWh/月の場合で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金802円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は9,114円、6月使用分は9,523円となり、5月から409円の値上げとなっています。
東北電力
[図4:東北電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、契約電流30A、使用電力量260kWh/月で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は8,436円、6月使用分は8,855円となり、5月から419円の値上げとなっています。
北陸電力
[図5:北陸電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯B・30A、使用電力量230kWh/月で算出、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は7,356円、6月使用分は7,758円となり、5月から402円の値上げとなっています。
中部電力
[図6:中部電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯B・30A、使用電力量260kWh/月で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は8,345円、6月使用分は8,691円となり、5月から346円の値上げとなっています。
関西電力
[図7:関西電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯A、使用電力量260kWh/月で算出。口座振替割引額(55円)、6月再生可能エネルギー発電促進賦課金、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は7,196円、6月使用分は7,664円となり、5月から468円の値上げとなっています。
中国電力
[図8:中国電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯A、使用電力量260kWh/月で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は8,061円、6月使用分は8,514円となり、5月から453円の値上げとなっています。
四国電力
[図9:四国電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯A、使用電力量260kWh/月で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は8,135円、6月使用分は8,595円となり、5月から460円の値上げとなっています。
九州電力
[図10:九州電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、従量電灯B・30A、使用電力量250kWh/月で算出。再生可能エネルギー発電促進賦課金、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は7,101円、6月使用分は7,551円となり、5月から450円の値上げとなっています。
沖縄電力
[図11:沖縄電力 平均モデル電気料金の推移]
平均モデルは、使用電力量260kWh/月で算出。6月再生可能エネルギー発電促進賦課金907円、消費税等相当額を含んだ金額です。5月使用分は9,047円、6月使用分は9,663円となり、5月から616円の値上げとなっています。
職場で今すぐできる!電力削減のポイント
[図12:職場で電力削減のイメージ]
ロシアによるウクライナ侵略等を起因として生じたエネルギーの需給ひっ迫、エネルギー価格の高騰は、今なお続いており、今後の動向も不透明です。2023年同様の猛暑となることが見込まれる本格的な夏を迎えるに当たり、電気料金を抑えるためには効果的に省エネ・節電に努める以外には対策がない状況です。ここでは、消費電力を削減し、電気料金を抑えるポイントをご紹介します。
最大需要電力を抑えることがポイント
電気料金が決まる仕組みで見たように、電気料金は最大需要電力の大きさで変化します。一瞬でも大きな最大需要電力を消費すれば、その後1年間はその電力をもとに電気料金が計算されます。そのため、電気を一度に使うのではなく、こまめに調整しながら少しずつ使い、最大需要電力を抑えることを意識しましょう。
空調設備のこまめな設定調整
電力消費のうち、空調が消費する電力が約48%を占めると言われます。温度や風力の設定を細かく調整することで、消費電力を抑えることが可能です。温度の調整では、最初から低い温度設定にするのではなく、最初は高めに設定し、徐々に設定温度を下げていくようにすると、空調が消費する電力も変化してきます。
古い空調設備は新しいものに交換
環境省によると、10年前のエアコンと最新のエアコンでは、消費電力量(kWh)が大きく異なり、約12%も下がると算出されています。家庭や職場などで古い空調設備を使用している場合は、最新の機種に買い替えることが長期的に見て賢明な選択となるでしょう。
▼2020年 VS 2010年 最新家電と10年前の家電どのくらいおトク?(デコ活)
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/kaiteki/topics/20210630.html
契約プランを確認し、必要であれば見直す
電気料金の契約プランは複雑で、多様なプランが登場しています。現在契約している料金プランが長年契約し続けているものであれば、より安いプランがないかを一度確認しましょう。
オフィスや工場などの事業者は空調コントロールの自動化を
オフィス、小売店や工場など、事業者の電気料金は一般家庭とは異なりますが、空調や照明が消費電力の大きな割合を占めていることは変わりません。しかし、限られた人員の中、空調や照明のこまめなコントロールに時間と手間を割くことは避けたいところです。長期的な視点に立ち、空調や照明のコントロールを自動化することをお勧めします。
AI電力削減ソリューション「AIrux8」で空調設定を自動化
[図13:AIrux8導入前の課題と導入後の効果]
当社の「AIrux8(エーアイラックスエイト)」は、AIを活用し空調電力・消費電力の削減を実現します。AIrux8はセンサーとAIの技術で空調・照明を自動的に調整し、無駄な電力をカットして省エネにつなげます。まず、エアコンで室内温度をチェックし、人感センサーでオフィスの状況、ACコントローラーで室外の気温を把握。その情報をクラウドで解析し、自動でエアコンの温度調節を行います。
詳しい説明は下記記事をご覧ください。
▼【電気料金最大39%値上げ】エネルギー価格高騰時代、企業のコスト削減のカギは『省エネ』
http://www.tranzas.co.jp/column/iot-energysaving/
「AIrux8」の技術、日本で特許として登録される
2024年5月9日、当社のAIによる電力削減ソリューション「AIrux8」の技術が日本で特許として登録されました。特許の内容は、AIrux8の電力削減アルゴリズムに関するものです。特許が登録されたことにより、AIrux8の技術は国内でも唯一無二のソリューションとなりました。世界規模でのSDGsへの取り組みに発展させていくことを目指し、今後も引き続き、日本国内での導入を更に進めていきます。
特許の内容については下記記事をご覧ください。
▼AI電力削減ソリューション「AIrux8」の技術が日本で特許として登録
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000062901.html
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