スマートホテルとは?ホテル業界のIoT技術を活用した業務効率化の取り組み
昨今、IT技術を活用してサービス改善・業務効率化などを図った「スマートホテル」が増えています。
本記事では、そんなスマートホテルの事例として、IoT・ロボットなどを活用した取り組みをご紹介していきます。
スマートホテルとは?
スマートホテルとは、IoTやスマート家電などの「情報処理技術」を活用して、顧客体験の向上・業務効率化などを目指した新しいかたちのホテルのことです。
イメージしやすい例としては、センサーで取得した部屋の明るさ・室温などのデータを用いて客室の照明・空調を自動調節したり、スマートフォンで電子鍵を発行して入退室を可能にしたり…といった取り組みをしているホテルが、スマートホテルです。
取り組みの内容はさまざまな例がありますが、いずれも顧客の利便性を高めたり、従業員が手間をかけずにより良いサービスを提供できるように効率を改善したりと、他のホテルとの競争力強化や人手不足の解消などといった目的で注目されています。
スマートホテルの事例
それでは、スマートホテルの取り組みとして実際にどんなケースがあるのか、事例をご紹介しましょう。
センサーの情報を活用したサービス提供
まず身近な例が、センサーで取得した情報を処理にかけて新たなサービスを提供する取り組みです。
たとえば、冒頭でも例に挙げた「照明・空調の自動調節」。
室内のセンサーが取得したデータから、AIが人の移動・密集状況などを分析して最も心地よい室温を実現します。エリアによって空調を自動調節する技術も進んでいるので、消費電力のコストダウンにも効果的です。
また、人感センサーをつかってレストラン・入浴施設などの施設の混雑状況をデータ化し、それをスマホやデジタルサイネージに配信して手軽に確認できるようにした事例もあります。
こちらはお客様がなるべく待ち時間なくサービスを利用できるようになるだけでなく、サービスが利用されやすい時間帯・曜日などのデータを分析して提供するサービスの改善に結びつけるなど、その後の更なる活用も期待できます。
アプリやWEBサイトと連動させれば、スマホで混雑状況を確認してそのままサービスの予約をする、と言った利便的な顧客体験が創出できます。
この仕組みは他にもさまざまな応用ができます。たとえば、人だけでなくモノがあるかないかをセンサーで取得する取り組みです。備品庫内の棚や客室備え付けの冷蔵庫に重量センサーを導入すれば、欠品をいち早くアラートしたり、発注した品目・数などを記録して自動的にレポートを作成したり、AIを組み合わせて少なくなった備品を自動発注したりと、これまで従業員がおこなっていた在庫管理を効率化できます。
ウェアラブルデバイスで業務効率を改善
従業員の業務効率化という観点では、ウェアラブルデバイスの活用もはじまっています。
ホテル業界では人手不足が深刻化していますが、これを解消するためには1人ひとりの生産性向上が欠かせません。そこで活用されはじめているのが、身につけるだけで手を塞がずに作業ができ、従業員の作業効率UPをサポートしてくれるウェアラブルデバイスです。
具体的な例を挙げてみましょう。
たとえば、ホテル業務のなかで従業員のリソースを浪費してしまっている業務として、特に目立つのが「次に掃除するべき空室がどこか探すこと」です。これまでは、清掃員が客室清掃に行くまえにフロントに確認して客室に誰もいないことを確かめたり、客室フロアをまわって空室かどうかを直接確認したりしながら清掃を始めていました。
そこで、人感センサーなどを使って客室に人がいるか・いないかをデータ化し、清掃員に装着してもらったウェアラブルデバイスにデータを送信することで、空室がリアルタイムでモニタリングできるようになります。
さらにお客様からの呼び出しや、従業員同士での共有事項などをウェアラブルデバイスに通知することで、これまでよりも早く・正確な情報共有と対応ができるようになります。
顔認証による自動チェックインの実現
また、昨今では顔認証技術を用いてチェックインの簡略化・フロント業務の削減をする取り組みも進んでいます。
手順としては、まず到着した宿泊者がロビーに設置された自動チェックイン端末に予約番号やQRコードなどを読み取らせます。そのまま端末に本人確認書類をスキャンさせ、備えつけのカメラで自身の顔と本人確認書類の写真を照合して、一致していればその場で電子鍵が発行されるという仕組みです。
この仕組みであれば、なりすましを抑止できてフロントでのチェックイン業務も削減できるので、従業員の業務効率化が図れます。電子鍵なので鍵の受け渡しや紛失・返却のし忘れなどのリスクも心配なく、宿泊者は従業員と非対面のまま客室にチェックイン・チェックアウトができます。
このように対面接客を最小化することで、感染症対策の強化にも繋がります。
顔認証による自動チェックインの仕組みは、以下の記事でも解説しています。
ロボットを活用したフロント業務の効率化
この仕組みと似たシーンでの例として、ロボットを活用してフロント業務を削減した例もあります。
ハウステンボスに隣接する「変なホテル」では、上記のような自動チェックイン端末ではなく、フロントにロボットを設置することでチェックイン・チェックアウト業務を無人化しました。
こちらも、通常なら台帳に氏名・住所を記入してもらって、記入された内容とホテルが管理している予約者情報を照合して本人確認する作業を削減してくれます。
また、ロボットの活用はフロント業務だけに留まりません。「変なホテル」では荷物を自動的に預かるアームロボットを設置して、クローク業務も効率化しています。
ロボットなら365日24時間いつでも対応可能なので、これまでのように従業員に夜勤をしてもらう必要が減り、時間によっては提供できなかったサービスも24時間受付可能になるので、サービス満足度の向上などといった効果も期待できます。
スマートホテルのメリット
ここまでスマートホテルのさまざまな事例をご紹介してきましたが、まとめると、スマートホテルのメリットは主に次の3つが挙げられます。
サービス品質の改善
1つ目は、サービス品質の改善です。
具体的には、次のような例が挙げられました。
1. 照明・空調を調節して、快適な環境を提供する
2. 施設の混雑状況位を可視化して、待ち時間を減らす
3. ITを活用して、チェックインからチェックアウトまでスムーズにする
4. センサーやIoT機器から収集したデータを使って、更なるサービス改善を図る
特に、4はスマートホテル化するメリットとして特に大きいです。
たとえば「レストランはいつも18時〜19頃に混雑するから、この時間に客室への食事配膳サービスのキャンペーンをしたら、混雑していて諦めていたお客様に利用してもらえるのではないか」、「暑い日が続くとビールの在庫が多く出るから、欠品しないように過去データから使用量を予測してあらかじめ仕入れをしておこう」という具合に、センサーやIoT機器で見える化されたお客様の行動データからホテル経営の改善に繋げていくことができます。
また1の「照明・空調を調節して、快適な環境を提供する」については、お客様に快適な空間を提供するという点でサービス品質の改善に役立ちますが、消費電力の削減効果も期待できます。
具体例として当社製品「AIruX8」を導入した場合の効果を挙げると、照明の電力を33%・空調の電力を41%削減した事例があります。一般的なオフィスにおけるシミュレーションでは、月100万円程度の電力コスト削減見込みがあるため、サービス品質の改善だけでなくコスト削減という面でもおすすめです。
従業員の業務効率化
2つ目は、従業員の業務効率化です。
1. 従業員がおこなっていた作業を簡略化/省人化/自動化する
2. ウェアラブルデバイスなどのIT機器を用いて、情報伝達や作業効率を改善する
このような改善がおこなえることで、人手不足の解消にも役立ちます。
なお、2では例としてウェアラブルデバイスを取り上げましたが、こちらは手をふさぐことなく利用できるため、昨今ビジネスシーンでも導入が進みはじめています。例えば、物流倉庫でのピッキング業務に導入したところ人的生産性が20%向上したという報告もあります。
ウェアラブルデイバイスの具体的なイメージをご覧になりたい方は、当社で取り扱っている製品を以下のページ紹介しておりますので、そちらもご覧ください。
感染症などの対策
3つ目は、感染症などの対策です。
フロント業務における自動チェックイン端末やロボットの事例のように、チェックインからチェックアウトまでにおける対面での接客シーンを減らし、非対面でのサービス提供シーンを増やすことで感染症などの対策を強化できます。
消毒アルコールやマスクの徹底など、既に対策を強化されているホテルも多いかと思いますが、新型コロナウイルスをはじめとする感染症にまだまだ不安を抱えている方も多いため、今後は対面接客を最小化する取り組みを増やしていくことも有効かもしれません。
さいごに、当社では企業様が抱えるさまざまな課題に対してカスタマイズでIoTソリューションをご提案・ご提供しております。
そこで実際にご支援したより詳しい事例について、ホテル業界をはじめとしたさまざまな業界の例をまとめて一冊にして配布しております。こちらはどなたさまでも無料でお読みいただける事例資料となっておりますので、ご興味ある方はぜひ以下よりダウンロードしてください。
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